HR Tech

日本におけるデジタル・トランスフォーメーションの
実態とその実現に向けた課題~IPAにおける取組みを通じて~

独立行政法人 情報処理推進機構 社会基盤センター
人材プラットフォーム部

東澤永悦

2019年7月29日

はじめに

近年、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)などをはじめとする先端技術やデジタル技術の利活用によるビジネスの高度化が進み、市場における企業間競争がますます激化しています。デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めていくことは「デジタル・トランスフォーメーション(以下、DXと略す)」と呼ばれ、それへの取り組みが注目されるようになってきています。
ただし、DXという言葉が日本において一般にも話題にされるようになったのは、まだここ数年のことであり、そのため、DXに関する共通認識がまだ十分に形成されておらず、人によってその解釈が異なっているのが現状ではないでしょうか。「DXとIT化は何が違うのか?」や、「DXは情報システム部門の仕事であり、それ以外の人には関係ない」と考えている方も少なからずいることでしょう。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、2018年度に「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」という名称で、我が国におけるDXの取り組み実態の把握とDXを推進するための組織や人などのモデル化を行い、その結果を同機構のホームページ上で公開しました。また、上記調査結果も含め、DX時代の人材やそのスキル変革などについての課題の共有や、その解決のための具体行動を起こすきっかけ作りを目的としたセミナーを開催するなど、日本におけるDX推進に貢献すべく積極的な活動を行っています。

「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」

調査名は人材のみに焦点を当てた感がありますが、内容的には我が国におけるDXへの取り組み実態全般について俯瞰的に捉えた、公的機関としては初の本格調査です。アンケート及びインタビューを基軸とし、アンケートについては東証一部上場企業1000社、インタビューについてはDXに取り組む国内企業10社を対象に調査を行いました。
DXに対する危機感はありながら、それに対してまだ十分な行動がとれていない日本企業の実態や、DX推進に立ち塞がる幾多の壁やそれを乗り越えるための方策などについてまとめられています。

「これからの人材のスキル変革を考える~DX時代を迎えて~」セミナー

DXへの取組みに対する必要性を共有するとともに、DXを推進する人材となるためのスキル変革について考え、関係者がそれぞれ“自分ごと”として具体行動を起こすきっかけとなることを目的として開催されました。内容は、関連する各種調査のトピックス紹介と、有識者によるパネルディスカッションという構成となっています。
DXはデジタル技術を活用すること自体が目的ではなく、新たな顧客価値創造のため、経営のあり方やビジネスモデルを大きく変革していくことだということ、そして、そのための人材育成も含め、イノベーティブな企業文化の醸成が不可欠であるという発表や議論が行われました。

「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」及び「これからの人材のスキル変革を考える~DX時代を迎えて~」セミナーのいずれも詳細は下記をご覧ください。
https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20190412.html

おわりに

DXはシステム課題としてではなく、経営課題としてとらえることが重要です。当然ながら、IT部門だけでは実現出来ません。経営層や事業遂行部門、人事や人材育成部門をはじめとする全社スタッフの方々にも、自社のDXについて語り、推進に関与していただくことを期待します。