「日本的人事」の外側を見る~SHRM2017から見えたこと~ vol.1
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株式会社ピープルファースト
代表取締役八木 洋介 氏
2017年10月13日
総デジタル時代に人事がリーダーシップをとる

今年のSHRM年次大会は「All In/オールイン」という統一テーマを掲げていました。All InvestmentとかAll Innovation とかAll Inで始まる言葉がたくさん述べられていましたが、その背景にある考え方としては、人事が経営に参画していく中で、従来の人事業務だけではなく、ビジネスに対して価値を与える活動を網羅的にしていかなければならないということだと理解しました。
例えば、基調講演に登壇した、パトリック・レンシオーニ(テーブル・グループ創業社長)、80年代は戦略の時代、90年代をテクノロジーの時代、そして2000年代はファイナンスの時代と表現していました。そして、今は「Golden age of HR」と。会社が変わるという時、「会社」という人はいないわけなので、「人」が変わるということです。今はインターネット、デジタル、ハイパー・コネクティビティ、3Dプリンティング、どれを取っても大きなパラダイムシフトが起こっており、組織も変革を行わなくてはいけないということからすると、やはり人間がどう変わっていくかということが絶対のキーだということを私自身も思ってきました。
米国のグローバル企業はこれまでも人の重要性を十分に理解しているので、先端的な人事活動をもって組織に変革を起こしてきました。実際のところ、米国内でも一般的な企業ではそこまでの取り組みはなく、人事というのはあまり力のない部署だったわけです。しかしながら、米国全体で変革における人の重要性に気が付き始めて、人事がリーダーシップを発揮する環境になってきたのだと思います。
そうした中で、今回はオーセンティックリーダーシップ、つまり本物のリーダーシップという言葉がよく聞かれました。これまでは、アメリカのリーダーシップというとチェンジリーダーシップが主流であって、変えていこうという強さを主張するものが非常に多かったのだけれども、そこに良さというか、より質の良いものを目指していきましょうというリーダーシップが強調されていると思われます。この背景にあるのがインターネットです。全てシェアされてしまう世界では、悪いことをした会社はすぐに淘汰されます。何を目指しているのか、日常的にどういう活動をしているのか、ということをオープンに表明する時代です。ただ強いだけではなく、会社の姿をありのままに外部に見せる点において、良さもないと勝てないのです。そのためにも、私たち人事は自社・自部門、そして自分自身の強みと弱みをしっかり考え、世界の動きを見ながら、そしてその世界の動きの根底を洞察しながら、自分たちの立ち位置をしっかり作って、そして企業の競争の中で勝っていかなければならないのです。
