人材・人事の重要性の再認識2018 SHRM Annual Conference & Exposition参加レポート
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株式会社ピープルファースト
代表取締役八木 洋介 氏
2018年7月24日

昨年の大会を振り返ってみると、日本で盛んに取り上げられていたノーレーティングの話はほとんど聞かれなかったものの、フィードバックのテーマには注目が集まっていました。
そこから1年が経過した今大会では、ノーレーティングは全く扱われておらず、フィードバックについても、その重要性は引き続き認識をされているものの、一つの波が過ぎたような印象を受けました。総じて、非常に早く動いているアメリカの人事を実感しました。
その中でも、今のアメリカの人事の動きとして決定的に明らかなのは、ようやく、経営者が人材・人事の重要性に真剣に気が付いたということです。
これによって、各社が人事機能の強化に向かった時に、心理学や脳科学といった今必要な知識を持って経営者の期待に応えられる人事パーソンが必要になります。
しかしながらそうした人材が現在の市場には多く存在せず、かつそんなに急に育つわけもないので、ごく限られた優秀な人事パーソンの奪い合いが今後起こってくるでしょう。優秀な人事パーソンが獲得できるか、またその結果としての人事の活動が、企業の勝ち負けに大きく影響することが想定されます。
この流れは、Re-Inventing Human Resourcesというキーワードのもとで整理されて語られていました。
アメリカでも人材不足が重要課題になってきており、エンゲージメントに関してもこれまで散々いろいろな手を打ってきたにもかかわらずレベルが高い社員が全体の30%強くらいのところで留まっている状況です。

また、ミレニアルから高齢者まで多様な世代が混在する職場も人材に着目するようになった大きな要因になっています。
加えて忘れてならないのは、ノンヒューマンワークフォース、いわゆるAIの出現を含む、デジタル時代の到来です。
デジタル時代にどこで差別化を図るかというとノンデジタルなところです。つまり、人間に投資して、他社とは違う価値を生み出していくことが重要になってきます。新しい価値は人間からしか生まれないのです。
Adam Grant氏が講演の中で、人材が自社の文化にどれだけ合うかどうか「カルチャーフィット」よりも、人材が自社にない文化をどれだけ創れるか「カルチャーコントリビューション」が大切というメッセージを発していましたが、それも同じような流れです。
組織の中で新しい文化や価値を創出することが求められるようになってきたからこそ、それらを創る人材に投資するべきということなのです。
